コラム - Marketing Automation の美しい使い方 | Nexal
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Marketing Automation の美しい使い方

みなさんこんにちわ。株式会社Nexalのコンサルタント中の人です。

現在私は、さまざまなクライアント先で、戦略策定から描かれたナーチャリング・シナリオ(プログラム)やコミュニケーション・シナリオについて、どのように実行・評価するのか、業務プロセスの詳細設計やスコアリング設計・チューニングなどを行っています。

今日は、マーケティングオートメーションツールの活用について、いろいろ思うことがありコラムにまとめます。

 

One of the Marketing Support Tools (Marketing Automation)

マーケティング・オートメーションの歴史は、1999年カナダのトロントで創設されたEloquaに始まるかと思いますが、マーケティングを自動化できるという誤解を招きやすい名称のため、個人的にマーケティング・オートメーション(以降MAと称す)という言葉は好きではありません。そもそも、”マーケティングの自動化”などありえないと考えています。また、どの範囲をもって「マーケティング」と定義しているのか、「何を自動化」するのかが明確になっていない企業が多いからです。

MAはマーケティング業務の一部をサポートするツール(”One of the Marketing Support Tool”「マーケティング活動を支援するツールの一つ」)と理解するのが正しいかと思います。

MAの一番望ましい使い方は、”Predictive system(予兆システム)

「何を予兆するか」は定義によりますが、営業の案件や商談に繋がる可能性があるリードの予兆を掴むシステムとして活用できることです。

予兆システムとして活用するためには、マーケティング戦略が存在し、戦術に落とし、それを実現するにはどのようなツールが自社にマッチするのか?と考えた時に、初めて選択肢としてMAツールが登場します。または、既存のマーケティング活動において負荷がかかっている業務を円滑に進めたいという課題に対し、業務支援ツールの選択肢の一つになるものと考えています。

つまり、マーケティングとして何をやりたいのか、既存業務のどこをどのように改善したいのか、という課題や計画なしに名前の響きから導入するものではありません。きちんとプランニングし、MAの特徴を理解した上で導入すれば、マーケティング部門としての効果や評価に結び付くことができるツールかと思います。

では、MA検討の際に、考えておくべきポイントは何か、整理します。

 

MAを検討する際に考えておくべき5つのポイント

1.ポリシー
・お客さま情報をクラウドにおけるか
・サイトポリシー
・個人情報保護
2.マーケティング戦略と戦術(マーケティング活動のどこで使うのか)
・アウトバウンド
・インバウンド
・オフライン(コール、紙のアンケート)情報管理
・MAツールが使いたい規模に耐えうるか
・自社/アウトソーシング
3.リード管理モデル (Lead Qualification Model)
・リード定義
・何をもって営業に渡すリードと定義するか(スコアリング/コール)
4.予兆(Qualified Lead)の営業連携方法
・組織体制
・営業のリード管理方法(SFAなど)
・リードの戻し方
5.マーケ部門の評価
・評価指標
・評価期間

まず、MAを企業として導入してよいかというポリシーを決める必要があります。MAの導入=クラウド上にお客さま情報を置くことが、企業方針にマッチするかが最初の関門です。また、Cookieを使ってWeb行動を事前にトラッキングしておき、顧客情報と紐づけ、メール配信などのマーケティング活動に個人情報を使うというパーミッションが必須となりますので、個人情報保護の観点から見直す場合も出てきます。

次にマーケティング戦略と戦術は、簡単に言えば、商材別に誰を(どのような企業属性)ターゲットとして、どのような戦術でコミュニケーションを行うのかというものです。方法としてはインバウンド型/アウトバウンド型がありますが、部分的であっても自社で行うのか、アウトソーシングするのかも含め検討が必要です。さらに市場の想定ターゲット数からツールが耐えうるものか、またその際のコストまで事前に調査しておきましょう。

3番目のリード管理モデルは、マーケ部門および営業部門は現状どのようなステータス(コード含む)でリードを管理していくのか整理・定義しましょう。例えば、リードがどのような状態になったら、どのステータスにするのか社内定義書を作ることです。最終的には、各部門が使うツールで管理しているステータスと紐づけて、組織間を跨いだリード状態を”見える化”することが必要となります。これらをリードマネジメントモデルと言います。

4番目の予兆の営業連携方法は、誰がどのタイミングで、営業に有望株(リード)を知らせるかということです。その際に、営業部門とマーケティング部門を串刺しでみる人や組織を準備をする必要も出てきます。
最後に、マーケ部門の評価指標です。どのツールのどの指標でどの期間を対象としてマーケティング活動を評価するか決めましょう。

事前に上記の5つを考えたとしても、MA導入後に必ず直面する課題があります。

 

MAの役割と課題

一般的なBtoB企業で導入されるMAツールの役割は、「営業に渡せるリード状態を把握し、営業に引き継ぐこと」です。つまり、お客さまとなりうる予兆をいかに早くキャッチし、営業に伝え商談に繋げるかが大きな役割として考えらえます。

-ただ、本当にそれでいいのだろうか?
-いや、本当にできるのであろうか?

■MA先進国の米国が、現在直面している問題
1.MAツールを導入したがベンダーのサポート期間が切れ、結局使いこなせないという企業がほとんど。
2.高価なツールを導入し利用してみたが、必要な要件を見直すと安価なツールで間に合うので移行している。

というのが実態です(※補足)

※補足———————————————————–
Third Door Media社が出しているDIGITAL MARKETING DEPOT、B2B Marketing Automation Platforms 2015: A Marketer’s Guideによると、マーケティング・オートメーション・プラットフォーム(以下「MAP」)の普及率は、その潜在市場の大きさに対して低いとレポートされている。
その中でGartnerによれば、MAPの購入者は潜在市場のわずか9%であると伝えている。また、Raab Associatesによれば、企業規模で言えば大企業の10%、中小企業の3%がMAPを使っていると述べている。
普及率の低い2つの要因としては、プラットフォームの使いやすさと手頃な価格であることと述べ、Sirius DecisionsによればMAPを使う85%のマーケッターは、MAPの全ての機能を使いこなせていると思っていない。さらにAberdeen Groupの調査によると、現在使用中のMAPに高い不満を抱き、20%のマーケティング担当者が、最近MAPを切り替えたりプロバイダーの乗り換え途中にあるとレポートしている。(Nexal,Inc.意訳)
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2の場合は、リプレースで解決できれば問題ないのかもしれませんが、1の場合は根深い課題が存在します。何を基準に使いこなせないと言っているのか、そのレベルは様々ですが、使いこなせないという理由は、以下の3つに集約されるかと思います。

■MA導入後に直面する大きな3つの課題
1.何をもって予兆とみなすか定義できない ⇒(スコアリング/コンテンツ)
2.縦割りの組織体制 ⇒(LDR/SDRの役目)
3.どのように営業に伝えるか ⇒(アライメント/システム連携)

 

Nexal,Inc.からのアドバイス

1.スコアリング/コンテンツ

MA活用時に必ず課題に出るのがスコアリング設計です。スコアリングすべきコンテンツが全く無いとなると、マーケティング戦略から見直す必要が出てきます。ほとんどの企業は、この課題に直面しているように思われます。

例えば、Webコンテンツとして、どのマインドレベルの人に対して、いつ何のコンテンツを提供するのか、設計されていますでしょうか。これが整理されていない段階では、スコアリング機能は宝の持ち腐れとなります。

適当にスコアリングや重み付けを行ったとしても、結局はコンテンツが増える度に、パイプラインとして営業部隊に引き継ぐ度に見直しが入り、日々のチューニングが必要になります。戦略に基づいたコンテンツがあって、ようやく購買プロセスを分析することが可能となり、スコアリング機能を活かせることができます。

2.マーケと営業の連携組織

米国では、LDR(Lead Development Representative)や、SDR(Sales Development Representative)と呼ばれる役割(役職・組織)が存在します。

日本では、この連携組織がないことから、インサイドセールス部隊を立ち上げる機運が高まっていますが、海外の組織と異なるのは、国内の場合、単にアウトバンドコールを行う組織として位置付けられてしまっている点です。

LDRやSDRの組織が何をしているのか、分かりやすく以下に例えを書きます。

Q:マーケティング部門から営業に以下のケース1、2の連絡があった際、どちらが営業は動きやすいか?

ケース1:株式会社Xのスコアリング評価が”A1″になったので、早急に対応してください。

ケース2:先日のイベント後から今日までの2週間、株式会社Xから複数の人が○○商品を閲覧する頻度が高く、その中でもXXさまがシミュレーションツールを使うなど、検討レベルが高いと判断し電話確認をしました。「○○商品について半年以内に導入を検討しているので、詳細な説明を聞きたい」とのことです。営業からご説明に上がるアポイントのご連絡を差し上げるところまでXXさまに了解を得ていますので、早急に対応してください。

ケース1の場合、連絡を受けた営業や組織は、”A1″というリードの評価をどう捉えればよいのでしょうか?

1のスコアリングの話に戻りますが、一般的なスコアリングは、属性情報(Explicit)と行動情報(Implicit)情報の掛け合わせで評価されます。属性情報が、ターゲットとしている企業、年商、規模(従業員数)、業種、役職などにフィットし、Web行動は、最近来訪頻度が高く、自社が定義した購買プロセスに沿っていると判断されれば、もちろん”A1″としてスコアリングされます。

しかし、「A1です」と情報を渡された営業にしてみると、実際どのような属性で、過去どのような接点があり、どの製品に興味があるのかなど全くわかりません。どのような切り出し方で電話確認したらいいのかも分からない状況です。

海外のLDRとは、ケース2を営業に伝えること。つまり営業部門とマーケ部門のパイプラインを強化することで、収益増加を目的とした部門として位置付けられています。マーケティング部門がまだ整っていない日本企業で、この部隊を設置するには、かなりハードルが高いと思いますが、米国ではこの部門のニーズや重要性が高まっています。

逆に国内企業を見渡して、MAを使わずにデータを分析することで、なんとか営業と連携している企業が少なからず存在しているのも確かです。デジタルマーケティングに取り組んでいる企業は、ピンとくる組織かもしれません。

本来、上記のような組織が設置できることが望ましいですが、できなくてもその役割を担う人(データを読み解き、何をすべきか営業へアクション依頼としての翻訳ができること)が必要であると考えます。

3.アライメント/システム連携

ここでいうアライメントとは、”連合”、”連携”。つまり”繋ぐ(パイプライン)”という意味です。2は組織の問題ですが、ここでは組織の有無にかかわらず、営業とマーケ部門が”同じ言語で、どの状態のリードを、誰に、どうやって、何を伝えるのか”を共通認識で持つことが必要です。組織を跨いだ共通定義を作り、認識を合わせることです。

また、”繋ぐ”という意味では、MAとCRMを繋ぐというシステムの問題も出てきます。営業が現状どのようにリードや商談管理をしているか、きちんと把握した上でシステム間の連携を設計しないといけません。

MAとCRMを繋ぐ場合、CRM内で名寄せができていて、運用が回っていることが理想ですが、企業規模が大きくなればなるほど複雑になり、データが煩雑化するのが実態です。

また、MAツールの苦手なところ(実装されていない機能)は、専用ツールを使うのがベストな選択肢ですが、運用は企業ごとに設計が必要です。例えば、コール情報の履歴をどこに残すかは、コンタクトセンターの有無や、どのようなレベルのコールを誰が行うのかに応じて登録する場所も変わってきます。

MAの特性上、マーケティング活動でコールした履歴や情報はMA内に登録できませんが、CRMに登録すべきか・専用ツールを活用して連携すべきかまで設計しないとなりません。

 

MAの美しい使い方

 マーケティング戦略を立て、戦術に落とし、
コンテンツを用意して、現状分析からお客さまとなりうる予兆を掴み、
営業にいつ何をどのように連携し、NGの場合どこに戻すか、

までを、営業と一緒に共通言語で設計し、マーケティング部門の評価をどのツールのどの指標で計測するかを定義することで、初めてMarketingのどこをAutomationするか、ツールを使う意味が見えてくるでしょう。

その時に初めて、Marketing Automationと呼べるのかもしれません。

 




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